【目的】神経ペプチドの血管作動性腸管ペプチド(Vasoactive intestinal peptide)は様々ながん細胞に対し抗腫瘍作用を持つことが報告されている。我々は肝細胞癌細胞株を用いたin vitro研究において、VIP(血中の生理的濃度10-10M)が、VIPの受容体(VPAC)を介してcAMP-binding responsive element (CREB)のリン酸化を抑制しアポトーシスを誘導することで抗腫瘍作用を示すことを報告した。神経ペプチドは生体内生理活性物質であるが、治療のターゲットとして注目されており、抗がん薬と併用することで抗がん薬の副作用を軽減できるのではないかと考えた。5-フルオロウラシル(5-FU)は肝細胞癌に対し動注化学療法で使用する抗がん薬である。本研究では、肝細胞癌(HCC)において5-FUとVIPを併用することで抗腫瘍作用に影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。【方法】HCC細胞株 Huh7に5-FU, 1~20μMとVIP(10-10M)をそれぞれ単独または両者を同時に添加して培養後、細胞増殖反応をMTS法にて測定した。アポトーシスはヒストンDNAの断片化をELISAで検討した。各種アポトーシス関連蛋白の発現はウエスタンブロット法で評価した【結果・考察】5-FUを添加した48時間後の細胞増殖反応は、非添加群の100%に対し1μM添加群が60.6% 10μM添加群が57%と抑制された。VIP 10-10 Mと5-FU 1μMを同時投与すると55.8%とさらに抑制された。アポトーシスは非添加群の100%に対し、5-FU 1μM添加群が106%, 5μM添加群125%,10μM添加群130%と用量相関性に増加した。VIP単独添加群では138%で VIP+5-FU 1μM併用群は159%とさらに増加した。【結論】以上の結果より、5-FUとVIPを併用することで抗腫瘍効果が増加することが示唆され、今後、5-FUの投与量を軽減した治療戦略になるかもしれないと考えた。