医師主導治験・臨床研究の支援に携わるスタディマネジャー(以下、StM)は、他の分野に比べて習得すべき知識、標準的な業務、スキルなどが確立していない分野である。理由の一つは、臨床研究の共通言語として必要とされる、臨床薬理学や疫学、規制、倫理といった分野の科学的な知識が求められるだけでなく、各機関の研究基盤、支援人材配置、研究計画やPIの経験値などにも左右されるため他の支援職種に比べ業務のバリエーションが大きく、不確実性の高い業務であることに起因する。非中核病院の臨床研究支援組織のStMへのインタビューでは、組織内でStMを一人で担っており、相談の場を求める声が多かった。そのため2021年度、医師主導治験や臨床研究を支援するPM/StM(事務局業務も含む)を対象に、”業務において問題や疑問に直面した際に、自分の仕事や課題を理解し、助言してくれるネットワークの構築”を目的とした、対話による情報交換会(以下、対話会)を発足した(AMED菊地班)。現在は約2か月に1回「つながり対話会」としてWebでの対話会を行っており、2022年5月開催時には大学病院34施設を含む計51施設から69名が参加した。当初の対話会の主な活動内容は、小グループでのテーマに基づいた対話であったが、今後は勉強会の開催、小グループでの調査・研究、ポータルサイトの運営も予定している。
対話会の参加者の多くはCRC、モニター、データマネジャー等の他の支援職種の経験者であり、兼務している場合も多い。このような様々な支援職種をバックグラウンドに持つ参加者同士が、経験の集積と情報の共有をすることが課題解決の糸口となり、PIのいわば伴走者として、より良い計画の完成、実現を図ることが可能になる。しかし、前述のとおり、所属機関の研究基盤、支援人材配置等により業務のバリエーションが大きく、例えば主たる業務が医師主導治験支援か臨床研究支援か、また兼務の状況などにより、参加者の業務が個別化されている。そのため、課題も様々であり、今後対話会として、参加者にどういった場を提供し、課題解決に繋げて行けるかが課題である。