REMAP-CAP研究は、2016年にWHOのendorsementを受け、国際研究として設立された。REMAP-CAPは、Randomized、Embedding、Multifactorial、Adaptive、Platformの略語である。REMAP-CAP Japanは、2020年、2021年にAMEDより研究費を受託し、基盤構築を行うことができた。非治験臨床研究では、4つのドメイン(RCTs)に参加をした。7月現在で、全ドメインでの症例登録数は120例を超えるまでに至った。医師主導治験では、製薬会社が資金提供をしていただき、医師主導治験を経験した。この試験は、中等症COVID-19患者に、Toll-like receptor 4阻害薬 vs. placeboの二重盲検ランダム化試験であるが、米国では、Toll-like receptor 4阻害薬 vs. apremilast vs. placeboが原型であり、日本とapremilastが追加されているかどうかが大きく異なった。米国は米国規制当局、日本は日本の規制当局に合わせた報告をしつつも、日本からは、米国の規制当局へSUSARを報告する義務が生じた。この試験内容の違いが、EDCを作成するのに、同一な研究ではないということで、全く新たなEDCを作成せざるを得ず、交渉に半年も費やした。Toll-like receptor 4 阻害薬は、免疫調整薬であり、この研究の最中も、免疫調整薬のエビデンスが続々と創出されたこと、COVID-19症例が激減したことにより、研究継続が困難な状況となり、この研究は日本から約20症例(目標症例数は136例)で研究が中止となった。更に、重症COVID-19、重症インフルエンザ、および重症市中肺炎における肺血管内皮作動薬療法の開発に向けた国際治験をAMEDに応募した。残念ながら、本邦においてはCOVID-19で重症化する症例が減少してきており、試験デザインが、ヘテロな患者群をアダプティブデザインで行うもので、実用化に向けた調整がPMDAと不可欠とのフィードバックをいただき不採択となった。この2年半で、臨床業務をしながら、国内での多施設DBRCTも手掛けたことは今後の臨床研究をする上で多くの経験や教訓を得ることができたので、多くの方と我々の経験を共有したい。