【目的】日本において、都市部以外では、社会インフラは自動車である。このような生活環境において高齢者自動車運転免許自主返納は生活の脚をもいでしまうに等しく、事実 国立長寿医療研究は、運転を継続した高齢者に比べて運転を中止した高齢者が要介護状態になるリスクが約8倍にも上がるという衝撃的結果を発表している。加えてコロナ禍により外出機会は更に減少している。高齢者の閉じこもりは廃用を助長し、結果として介護申請を急増させ、超高齢化社会である日本の社会保障を逼迫させる。多くの地方自治体が,外出支援や介護予防の取り組みを行っているにも関わらず,その参加率や継続率は驚くほど低い。システムがあっても利用しないのである。何かが足りないのである。高齢者の外出機会を創出するためには、外出モチベーション向上こそ最重要課題として今回の実証実験をおこなった。【方法】対象は、入間市の70歳以上の高齢者(要支援1-2相当)57名。株式会社アイシンが開発した送迎サービス“チョイソコ”に、友人や買い物、そしてイベントを主たる外出促進因子として融合させ、高齢者の外出機会の増加と日常生活動作(ADL)の維持・向上に有用であるかを、年齢・性別・既往歴などの対象者背景と、筋肉量・体脂肪率・心拍数・血算・アルブミン・肝腎機能・Functional Independent Measure(FIM)・歩行速度・筋力・歩数・フレイルチェックといった医学データを用いて検討した。入間市,アイシン,損保ジャパン,小林病院(入間市),埼玉医科大学他の13者で共同研究計画を締結した前向き観察研究である。【結果】理学療法士の専門的指導がなくとも“チョイソコ”を利用した外出により、リハビリテーション効果を誘発している可能性が見出された。さらにチョイソコ利用回数と対象者QOLは高い相関を示した。ただし、これらの誘導因子が働いたのは女性のみで、男性の場合はこれらの因子では全く行動変容に至らなかった。【考察】日本の社会保障費軽減のため、高齢者の外出機会を創出するためには、サービスだけでなく、本人の外出モチベーション向上が最重要課題であると考え今回の実証実験をおこなった。結果、多くの有効なデータ及び高齢者男性の行動変容は生じないというNegative dataを得た。70歳以上の男女比は、1:0.72であり男性の行動変容は極めて重要であるため、それらを組み入れた更なる実証実験が必要と考え現在実施している。