免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAE)は、発現頻度は低いが発症臓器・発症時期・重症度は多様で、早期に発見し速やかに治療することが重要である。そのためには、『患者教育』と『専門診療科間の連携』が重要である。また、通常、免疫チェックポイント阻害薬は外来で投与されることが多く、多忙な外来診療中の円滑な診療連携には支援体制の整備が必要である。
 irAEの患者教育と診療連携・支援体制構築のため、当院通院治療室で免疫チェックポイント阻害薬を投与する診療科医師、irAE対策に関連する診療科医師及び通院治療室担当薬剤師・看護師とが協働し、取組みを行った。
 まず第一に、患者教育ツールとして、在宅時に病院連絡が必要な症状の一覧表と問診票を作成した。医師からの治療内容説明後の初回投与時に薬剤師が説明し、一覧表を活用しながら、治療継続中は看護師がirAEのモニタリングを患者とともに行っている。問診票は診察前に記入し、外来看護師が問診後、診察室で医師が確認、その後通院治療室で患者と共に確認する運用としている。
 次に診療連携ツールとして、代表的なirAE別の専門診療科コンサルト規準表とirAEについてコンサルトする連絡先の一覧表を作成した。irAEに関する関連診療科コンサルテーションを容易にするため、各関連診療科監修でコンサルトまでに確認すべき項目を抽出した。さらに院内で会議での事例共有や症例検討会も実施し、早期コンサルトに向けた啓発と情報共有を行っている。
 これらの取組みはirAEの円滑な早期対応に寄与することが期待される。しかし、大学病院の特徴上、医療者の異動もあるため、スタッフ教育も充実させながら、irAEの早期発見・対応および患者教育に繋げることができるようチームで継続した取り組みが必要と考えている。
 本講演では、当院のirAE対策のチーム医療の構築と現状をご紹介させていただき、免疫チェックポイント阻害薬投与時に求められるチーム医療について考えたい。