糖尿病性足壊疽にて治療中に生じた意識障害【患者】61歳男性.
【主訴】意識障害,呂律障害.
【現病歴】以前より糖尿病・高血圧症・慢性腎臓病にて治療中.入院1週間前より両足の腫脹・水疱があり,歩行困難となったため,入院日に当院に救急搬送.右下肢のガス壊疽の診断で処置された.メロペネム2g/日で治療を開始されていたが,培養の結果を確認し,入院10病日よりセフェピム2g/日とメトロニダゾール1500mg/日に変更されていた.しかし,発熱などの症状が持続しており,感染を伴う糖尿病性足壊疽の診断で,入院27病日に右大腿骨切断術を施行し,抗菌薬治療を継続していた.術後の疼痛に対して,入院30病日にミロガバリン5mg/日が開始され,その後増量された.また入院37病日にトラマドール75mg/日を投与された.入院43病日に呂律障害が出現し,開眼はしているが反応がほとんどない状態になったため,入院47病日に当科を紹介受診となった.
【意識障害出現時投与薬剤】アゾセミド60mg/日,酢酸亜鉛50mg/日,ランソプラゾール15mg/日,アセトアミノフェン1.5g/日,ミロガバリン10mg/日,トラマドール75mg/日,セフェピム2g/日,メトロニダゾール1500mg/日
【主な身体所見】身長155 cm,体重 44.5 kg,血圧152/88 mmHg,脈拍90 回/min,SpO2 98 %,体温 36.5℃,開眼はしているがアイコンタクトは困難,GCS:E4V1M3,チェーンストークス様呼吸あり,左足壊疽あり,右大腿切断,皮膚ツルゴール低下
【意識障害出現時血液検査所見】
生化学:TP 6.7 g/dL,ALB 1.8 g/dL,T-Bil 0.3 mg/dL,AST(GOT) 20 U/L,ALT(GPT) 10 U/L,LDH 203 U/L,ALP 178 U/L,γ-GTP 105 U/L,CPK 49 U/L,UA 6.0 mg/dL,BUN 25.2 mg/dL,Cr 1.20 mg/dL,Na 136 mmol/L,K 5.3 mmol/L,Cl 96 mmol/L,Ca 8.3 mg/dL,ALB補正Ca値 10.5 mg/dL,P 4.0 mg/dL,CRP 2.24 mg/dL
血算:WBC 8500 /μL,RBC 377万/μL,Hb 10.7 g/dL,Ht 33.7 %,Plt 37.7万/μL,好中球64.5 %,好酸球 2.7 %,好塩基球 1.2 %,リンパ球 25.3 %,単球 6.3 %
【経過】意識障害の原因精査のため,各種検査を行っていった.検査結果をもとに原因について検討された.