私は現在、第I相臨床試験施設に所属し、First in Human試験から生物学的同等性試験まで、健康成人を対象とした試験を中心に、治験事務局業務、CRC業務、また調剤業務を行っている。医療法人相生会の臨床研究部門は国内5施設、全体で年間100件を超える試験を受託しているが、アンメット・ニーズを対象とする製剤、DDSなど製剤技術に特徴のある製剤、COVID-19ワクチンなどに関する試験や、薬効評価系確立のために治験に先行する臨床研究など、薬物動態の評価はもちろんのこと、さまざまな評価項目が設定されたり、調剤や盲検化の工夫が求められたり、行政手続きに関する対応が求められたりと、試験実施施設に要求される内容は年々多様化しているように感じる。そんな中、関連法規や実施計画書等を遵守しながら、被験者の福祉を最大限に守りつつ、いかに試験を組み立て、正しく投与し、その薬剤の適切な評価につなげるかということは、常に最大の課題であり、勉強と創意工夫の日々である。
 私が日本臨床薬理学会認定薬剤師を取得したのは2019年のことで、まだ経歴は浅く、事例は限られているが、今回は支障のない範囲で具体的事例をご紹介するとともに、認定薬剤師に限らず、施設内での教育活動や臨床研究の啓蒙活動についてご紹介する。