【目的】2020年度調剤報酬改定では「かかりつけ機能の強化」や「対物業務から対人業務へのシフト」が促されており、薬局薬剤師が今までよりも一歩踏み込んだ薬物治療への参画が期待されている。医薬品による健康被害を未然に防ぎ、適切な薬物治療を実現するためには、医療従事者間での情報共有が重要と考える。宮城県塩釜地区では、塩竈市立病院主催の勉強会が開催され、病院と薬局が連携し薬の適正使用に取り組んできた。塩釜薬局の主応需先である塩竈市立病院では2017年7月より処方箋欄下部に「次回予約日や検査値を確認の上調剤願います」とコメントが追記され、迅速検体検査結果と共に患者に交付されている。そこで,今回は腎機能検査値を活用した薬物の適正使用に関して報告する。
【方法】2017年7月~2021年5月において、来局時に検査結果を確認し、腎機能が低下(CCr<60)している患者を抽出した。腎機能に見合った投与量であるか検討を行い、必要に応じて疑義照会やトレーシングレポートにて対応した症例を調査した。また、それぞれの内容や件数、それらが医師の診察や薬剤の処方(処方変更)に役立ったのか、また患者への影響について調査を行った。
【結果・考察】検査値から腎機能低下を懸念し疑義照会を行い、処方変更に至った例が14件であった。また、トレーシングレポートの提出は35件であり、そのうち19件で処方が変更になった。メトトレキサートを常用量で服用していたリウマチ患者に対しては、処方変更を提案し、減量後に専門医がいる医療機関へ転院となった事例があった。処方変更に至らなかった例でも、薬物血中濃度測定の実施など病院側で何らかの対応があり、薬薬連携を強めるものとなった。また、患者が自分の検査値を確認し理解するきっかけとなり、アドヒアランスの向上および患者満足度を高める結果となった。
【結論】今回の結果から、薬局での検査値の確認は適切な薬物治療へ大きく貢献できる事が分かった。近年、検査値結果等の情報開示が進み、その確認は薬局薬剤師にとってより身近なものになってきている。今回は既に腎機能が低下している患者を抽出し処方薬の見直しを行ったが、今後は、軽度腎機能低下患者や腎機能低下リスクのある患者に対して、服薬指導に加え、食生活や生活習慣改善のための助言を行い、悪化を未然に防止する支援をしていくことが必要だと考える。