【背景】慢性腎臓病は、進行すれば日常生活が妨げられる腎性貧血に、さらに透析や腎移植が必要な末期腎不全に至る。従って、慢性腎臓病を惹起・進展させないことは非常に重要なため、新規予防法の開発は喫緊の課題である。近年、フィブラート系薬剤の抗炎症作用が報告されている。
【目的】フィブラート系薬剤の慢性炎症性疾患である慢性腎臓病の進展に対する抑制効果を動物実験で検討した。
【方法】片側尿管結紮誘導腎線維化モデルマウス(UUOマウス)とアデニン誘導慢性腎臓病モデルマウス(CKDマウス)にフィブラート系薬剤を連日経口投与し、腎保護効果を検討した。
【結果】まず、UUOマウスにおいてフィブラート系薬剤の腎保護効果の可能性を検討した。フィブラート系薬剤投与は、UUOマウス腎臓において増加した炎症性サイトカイン・細胞外マトリックス遺伝子発現を有意に抑制した。UUOマウスでフィブラート系薬剤の腎保護効果の可能性が示唆されたため、次にCKDマウスを用いて検討を行った。フィブラート系薬剤投与によりCKDマウスにおける体重減少の抑制傾向が認められた。また、フィブラート系薬剤投与は、CKDマウスにおける血漿クレアチニン、血中尿素窒素、腎臓における炎症性サイトカイン・細胞外マトリックス・TGF-β・αSMA遺伝子発現の増加を有意に抑制した。さらに、CKDマウスにおける赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などの減少が、フィブラート系薬剤投与により有意に抑制された。
【結論】フィブラート系薬剤投与によりCKDマウスにおける腎機能低下、腎臓における炎症、貧血の抑制などが認められたことから、フィブラート系薬剤の慢性腎臓病に対する進展抑制効果が示唆された。