【目的】治験の電磁記録化が進みeSource、eProが普及しつつある。これは転記作業の工数の軽減とともに、データ発生時に治験依頼者とデータを共有ができる点でもメリットが大きい。しかし、既往・合併症及び併用薬については治験参加以前のデータの収集が必要で、治験ワークシートを活用することが多いのが実情である。治験ワークシートは治験医師がカルテから情報を抽出し転記して作成する必要があるため、多くの工数がかかっている。この度は当院で実施した治験において、電子カルテから一定の条件で病歴と処方薬情報を抽出・出力したデータを活用することにより、治験ワークシート作成の負担軽減策を検討したので報告する。【方法】2020年10月~2021年6月に組み入れられた、循環器内科の1試験5例と透析科の1試験4例を対象として検討した。医療情報部システム管理課にて、各被験者の治験参加時点の病歴と診断日、処方薬(商品名)と処方日の情報を電子カルテからマスターワークシート(仮称)に出力した。検討した9例について、既往合併症、併用薬の手書きのワークシート記載情報と、マスターワークシートの情報の照合を行い、マスターワークシート活用の有用性を検証した。【結果・考察】マスターワークシートの病名は多くの検査病名等が含まれていたため、治験ワークシートの疾患名が網羅できているかを確認した。9例中3例について全ての疾患名がマスターワークシートで確認でき、他の5例については約60~90%が、1例については28.6%の疾患名を確認することが出来た。併用薬に関しては、9例中4例がマスターワークシートで100%の薬剤を確認でき、4症例が約50~80%、1症例は25%の薬剤を確認することができた。治験ワークシートの病名がマスターワークシートに網羅されていない理由として、画像検査の診断名が反映されていないことがあった。また透析では注射薬が処方薬リストに反映されないこと、電子カルテの薬剤名がが商品名のため採用薬の変更により投与開始日の把握が困難となっていることが問題点として挙げられた。【結語】電子カルテから出力したマスターワークシートは、既往合併症、併用薬情報作成には完全ではないが、約70%以上の精度で情報が活用でき、ワークシート作成の工数削減には有用な方法なことが示唆された。