【目的】近年、Risk Based Approachの手法を取り入れた治験の他、オンライン診療やバーチャル治験の導入が検討・開始されている。軽症及び無症状COVID-19患者を対象とした医師主導治験(以下、本治験)の実施にあたり、医療機関の病床ひっ迫に伴い、治験期間を通して被験者を入院管理することが難しくなることが予想された。そのため本治験では、入院下で被験者を管理する方法(パターンA)以外にも、必要データの収集が可能であることを前提に、途中退院後、在宅もしくはホテル療養下で管理する方法(パターンB)や、同意取得時のみ来院し、それ以降は在宅等で治験を継続する方法(パターンC)のように、医療機関への入院・来院に依存しない被験者管理を実施している。本治験はまだ実施中だが、前述の3パターンの被験者管理方法と収集されたデータ品質の関係について考察した。【方法】登録された被験者89例を、管理方法毎にパターンA(4例)、パターンB(52例)、パターンC(33例)と分類した。収集されたデータの品質に関して、パターン別の規定来院日からEDC入力までの日数(指標1)、有害事象発生からEDC入力までの日数(指標2)、クエリ発出から施設対応までの日数(指標3)、重要データ項目に対するクエリ数(指標4)、以上4つの指標を検討した。【結果・考察】(指標1)中央値は、3パターンともほぼ同程度だった。(指標2)中央値はパターンBで若干小さいものの、平均値では概ね差がなかった。来院が少ないほどEDC入力に日数を要すると予想していたが、実際には同程度であり、これらの指標は管理方法に影響されないと考えられた。(指標3)中央値をみると、パターンA・Bが同程度、パターンCが短かった。(指標4)パターンA、B、Cでそれぞれ1件、29件、6件であり、症例あたりの数ではパターンCで低値であった。指標1および2から被験者情報が適切に収集されているという結果から、管理方法はクエリ数や対応に影響しないと予想していたが、実際にはパターンにより結果が異なっており、実施施設の実施体制(リソースなど)が要因と考えられた。【結論】本調査の結果より、治験データの品質は被験者の管理方法にさほど影響されないことが確認できた。医療機関への来院に依存しない治験実施により、組み入れ速度の上昇、被験者の来院負担低下のメリットが考えられる。通院が困難だが遠隔で評価可能な疾患では、来院に依存しない治験管理も有用な手段となりうる。