【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大や緊急事態宣言の発令により、医療機関内では、医療スタッフ内で感染者や濃厚接触者が発生した場合であっても、各部署の業務が滞りなく行えるよう、必要な対策を事前に講じ、患者は安心して治療を継続して受けられる体制を逐次検討している。治験やCRC業務は特殊業務であり、他部署からの応援を受けることが難しい側面があることより、有事に備え、病院および医学部で制定された事業継続計画(BCP)や行動指針を原則とした上で、CRC業務に特化したCOVID-19環境下におけるBCPを整備した結果について報告する。
【方法】CRC業務をすべて洗い出し、CRC業務環境調整、感染予防行動、被験者対応調整、治験依頼者対応調整の原則手順を整備した上で、COVID-19陽性者が発生もしくは自宅待機等でCRC全員が出勤不能な場合のCRC業務体制手順を2020年4月に整備し、2021年5月に見直しを行った。また、在宅勤務で対応可能な業務、出勤して対応する業務を分類し、必要なITや業務環境等を整理してBCPを整備した。
【結果・考察】院内ネットワーク内に保管されているファイル等、業務に必要な情報に外部からアクセスできる環境や、リモート電子カルテが使用できる環境があれば、被験者対応業務以外はある程度在宅勤務でも実施可能であることが判明した。前者については、SMO所属のCRCを除いては既に当センター内では整備されており、以前より活用されていた。後者については、条件をクリアしている医師に対しては、使用できる環境ではあったが、その他の業種に対しては、病院として使用できる環境になかったため、病院長に状況を説明し、院内CRCに対してCOVID-19環境下に限って特別に使用許可が下りたことにより、CRCにおいても在宅勤務を取り入れることができ、被験者や医師からの問い合わせ対応やEDC入力等が在宅でも可能になった。
【結論】BCPを整備したことにより、CRC業務であっても有意義な在宅勤務ができるということが証明でき、2021年7月時点でも一定条件の下継続している。幸いにもCRCの中で業務継続が不能になるような状況は経験していないが、不測の事態に備えて引き続きBCPの見直しを行い、継続的に評価と改善を行っていくことにより、CRC業務の効率化にもつなげていきたい。