【目的】当院では、治験業務に対し、1999年より3名の看護師が院内CRCとして配置された。2012年より治験件数の増加に伴う院内CRCのマンパワー不足を解消し、件数に合わせて柔軟に対応できるようSMO-CRCの採用を開始した。2019年のGCP改訂により業務委託等に関するデータの信頼性を保証する措置を講じることが医療機関の責務として示された。この方針を見据えた対応として、2019年よりSMOへの委託を2社とし、SMO-CRCは企業治験を積極的に担当し、院内CRCは医師主導治験及び治験全体のマネジメントを担うこととなった。当センターにおけるSMO-CRCが増えてきている中、治験業務の管理を見直し、より円滑で効率的な治験の展開が求められている。今回、治験の質の維持向上を目指し、これまでの運用と取り組みを後方視的に振り返り、今後の課題について検討した。
【方法】調査期間は2020年12月~2021年5月とし、2019年4月から2021年3月までの2年間におけるCRCの人数と治験数・業務の現状などをまとめるとともに、調査期間中にSMO-CRCから当院での治験業務における障害要因について聞き取りを行い今後の方向性と課題を検討した。
【結果・考察】調査期間中の院内CRCは4名と変化はなかった一方で、SMO-CRCは4名から8名に増加した。企業治験の件数は、院内CRCの担当は41件から19件に減少したが、SMO-CRCの担当分は33件から50件と増加した。現在、院内CRCは、プロトコルを担当する他に、逸脱やインシデント発生時には速やかにCRC全員で情報を共有し再発を防ぐことや、情報共有を円滑にするためCRC全員がアクセスできるホルダーを作成しツールを共有する等、治験業務を実施しやすくするための対応を行っている。また、今回のSMO-CRCへの聞き取りでは、「相談の問い合わせ先を把握するのが大変」「各診療科によって医師への連絡方法や外来の手順などが異なるので困る」が主な障害要因であった。今回の聞き取り調査の結果から、SMO-CRCが業務を行うにあたりシステムが不十分であることが示唆された。今後は治験の質の維持・向上のために院内CRCの役割を明確化し、システム構築を進めることが必要と考えられた。また、SMO-CRCの意見から、当センターに配置されてもすぐに業務を行えるような標準化されたマニュアルの作成が必要と考えた。
【結論】今回の結果から院内CRCは、SMO-CRCと共に活用できるマニュアルの整備を含めた具体的なシステム構築を行う必要がある。