昨今の医薬品開発においては,先進的技術の活用によってモダリティの選択肢が広がりを見せており,将来の医療に変革をもたらすことが期待されている。遺伝子治療や細胞治療といった新規モダリティ(New modality)を活用して,希少疾患や難治性疾患をはじめとして革新的な医薬品を目指して開発が進められている。New modality技術のうち,非病原性ウィルスに由来して非分裂細胞に効率よく遺伝子導入できることが知られるアデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus: AAV)は既に臨床において活用が進んでおり,安全性が高い遺伝子治療技術として更に幅広く臨床応用が進んでいくものと考えられる。
IQ Consortiumでは,CPLG(Clinical Pharmacology Leadership Group)とTALG(Translational and ADME Sciences Leadership Group)との連携でNew modalityを検討するJoint WGを設立した。これまでにWGでは,様々なNew modality薬剤の開発をする上での課題や新たな基準について企業横断的に議論を重ね,検討を進めてきている。
本講演ではAAV薬剤の開発にフォーカスし,生体内分布(Biodistribution)やPK/PD評価に関する考慮すべき事項についてWGでの検討結果を発表する。非臨床Biodistribution試験のデザイン設計やFirst-in-human(FIH)試験の初回用量設定など,New modality薬剤の臨床薬理学的な検討について具体例を交えながら紹介する。