薬剤性間質性肺炎(DILD)には様々な病型が存在し、病理組織学的なパターンに基づいて分類される。中でも、びまん性肺胞傷害(DAD)は特に予後が悪い。DADは急性呼吸促迫性症候群(ARDS)で見られる代表的な病型であり、治療反応性に乏しく、回復しても線維化を残す。そのため、DAD型のDILDは、その疑いの段階からステロイドパルス療法を含む集学的治療を行うことが治療ガイドラインで推奨されており、DILDが疑われる場合は、同時に、患者がDADを有するか否かを早期に判別することが重要とされる。
DILDの病理組織パターンの確定診断には、外科的肺生検による判定が必要とされているが、症状が重篤である患者に対しては侵襲的な検査を回避するケースが多く、画像検査と臨床所見のみでDADを疑い、治療方針を決定しているのが現状である。高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)胸部スキャンは、DILDの病型を予測するために広く用いられている画像検査法であるが、その読影に専門的な知識とトレーニングが必要であり、呼吸器専門医以外の一般医が画像のみでDADを正しく診断するのは困難である。DILDの診断に用いられているバイオマーカーとしては、Surfactant protein (SP)-AやSP-D、Krebs von den Lungen-6(KL-6)が挙げられるが、これらは間質性肺炎全般を検出するものであり、DADの診断に適したバイオマーカーではない。このような問題から、現在、DADを特異的に診断できる血液バイオマーカーの開発が求められている。
これまで、我々の研究グループでは、DILD患者血漿を用いたプロテオーム解析を行い、DAD診断マーカーの開発研究を進めてきた。ここでは、本研究の進捗や、見いだされた新規マーカー候補の有用性について報告する予定である。