デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)はジストロフィン遺伝子変異に由来するジストロフィン蛋白の欠損による筋線維の壊死・再生を主な病態とし、骨格筋量の減少や線維化を来すことで進行性の機能低下を生じる希少性難治性疾患である。ジストロフィン遺伝子は79のエクソンからなる巨大遺伝子であり、病因となる遺伝子変異は全エクソンに存在し、かつエクソン単位の欠失・重複、微小変異と変異の種類も多様である。近年DMDを対象に様々な作用機序をもつ薬剤の臨床開発が行われているが、その中でも特定のエクソン単位の欠失を標的としてアンチセンス核酸の投与によってエクソンスキッピングを人工的に生じさせて遺伝子変異の影響を軽減するエクソンスキッピング療法は、ジストロフィン遺伝子のエクソン51、53、45、44などをターゲットとして臨床開発が進んでおり、国内外で承認を受け臨床使用が行われているものもある。またナンセンス変異を標的としたリードスルー治療、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療も臨床開発が活発に行われている。今回は筋ジストロフィーの中でも臨床開発が活発に行われているDMDのDisease-modifying therapyの現状と課題について解説する。