精神科を受診している患者の処方欄を見て、あまりにも多くの薬を飲んでいて驚いた経験は誰しもあるだろう。日本ではこれまで特に統合失調症の治療において、多種類の向精神薬を投与する薬物療法(多剤併用療法)が広く行われてきた。多剤併用療法が必要な場合もあるが、副作用を最小化するという観点からシンプルな処方に越したことはない。本発表では、まず多剤併用療法の現状を批判的に考察し、抗精神病薬の減量・単剤化に関する代表的な研究をいくつか紹介する。そして、今日なお蔓延している多剤併用療法に対して医療従事者がどのように対処していくべきか考えたい。