食事によって薬物の吸収が増加または低下することで、薬物の有効性の低下や有害事象の発現につながる可能性がある。医薬品開発の早期には、健康成人を対象として、薬物の吸収に及ぼす食事の影響を評価する臨床薬理試験が実施され、この試験結果は後期の第II相試験や第III相試験の用法設定、すなわち空腹時投与又は食後投与とするかの判断に利用される。また医薬品開発の後期には、市販予定製剤を用いた食事の影響試験が実施され、医薬品の血中濃度と有効性及び安全性の関係に基づいて、医薬品の有効性及び安全性に及ぼす食事の影響が評価される。
臨床開発における食事の影響の評価については、国内外の規制当局よりガイダンスが発出されているが、特に2019年に発出されたFDAのドラフトガイダンスでは、食事の影響の評価に関する留意事項が詳しく述べられている。また、生理学的薬物速度論モデルによる、食事の影響の定量的予測についても近年研究結果が報告されてきている。
本発表では、臨床開発における食事の影響の評価に関する国内外のガイダンス、薬物動態モデルを用いた食事の影響の予測に関する最新の知見、食事の規定が必要であった事例などの紹介をもとに、医薬品の臨床開発における、食事の影響の評価の必要性と重要性と、そしてその定量的予測の意義について考察する。