生物学的同等性 (BE)評価の目的は、同一有効成分を同一量含有し、用法・用量が同じ製剤間(標準製剤と試験試験)での臨床上の有効性、安全性が同等である事を確認することにある。
BE評価のための指標は、第1に作用発現部位中薬物濃度あるいは作用発現部位に到達するために必ず通過する唯一の部位中の薬物濃度であり、これらの薬物濃度の測定が不可能な場合に、第 2 選択として薬理効果、臨床効果を評価指標とする。BE試験は、原則、ヒトを対象とし、in vitro溶出試験、放出試験などの結果は評価には用いない。但し、これらの試験においては、試験条件を種々設定する事が可能で、測定条件によっては、製剤間のわずかな臨床的には意味がない差をも検出できる面を有している。
血中薬物濃度を評価指標とする場合、原則、健常成人を対象として試験を行う。患者に比べ、安定した条件での評価が可能で、評価指標の変動性も小さく、相対的に許容域を狭く設定ができる。しかし、患者での評価と食い違いが生じる可能性は否定できない。そのため、経口固形製剤においては、複数の液性において撹拌強度を下げ、製剤間の差の検出力を高めた条件での溶出試験で、測定した一つの条件においても両製剤間に溶出挙動が著し差がある場合、医薬品の適用集団が限られている医薬品では、患者を対象とした同等性試験が必要と判断している。
経口固形製剤を対象とする場合、原則、空腹時投与で行う。消化管内における食事摂取によって引き起こされる消化管の生理的状態の変化によって、固形製剤からの有効成分の溶出は促進され、その結果、製剤間の差異が小さくなる傾向を示す。製剤特性の差の検出力を高めることを目的に、空腹時投与としている。但し、特殊な製剤加工が施されている製剤(経口徐放性製剤)では、製剤特性の頑強さの確認のため、摂食時投与条件でのBE評価も必要としている。
『同等』の許容域と評価方法は、血中濃度を評価指標とする場合、同等の許容域とその統計的な評価は、両製剤間の評価指標の差の標準製剤に対する比の 90%信頼区間が許容域±20%以内にあるとした。また、評価パラメータ値の分布は原則対数正規するとして、その場合の許容域は 0.8 - 1.25である。
以上、BE試験は、患者が非同等な医薬品を同等として服用するリスクを出来るだけ抑えることを目標に、試験条件、評価方法を設定している。