以前の生物学的同等性試験は、被験者数が6名~20名程度で、一つの試験だけで同等性を判定するものがほとんどであった。
しばらくして2012年ころにガイドラインが改訂された。当初、スポンサーの製薬企業との打ち合わせなどで、変更内容を耳にする機会はあったが、どう変わるのかまでは予見できなかった。やがて新しいガイドラインに従ったプロトコールが増え、それを実施するようになって初めて具体的変化を実感することとなった。40名程度で本試験を行い、同等性が成立しなければ更に40名程度の追加試験を行って、両試験のデータを併合して解析する大型のデザインが急激に増えてきた。本試験と追加試験の間隔は1~2か月くらいしかないため、本試験の始まる直前に、本試験と追加試験の実施契約を同時に結ぶのが通例である。ただ当院の実績では、本試験だけで同等性が成立する場合が8割超であり、その後の追加試験はキャンセルとなった。つまり生物学的同等性試験を実施すると、8割くらいの確率で数十例の空きベッドが生じるようなこととなった。
それから2020年にまた改訂が行われた。当施設でも新しいガイドラインに従った同等性試験の予試験や本試験、食後投与の同等性試験などが行われ始めた。予試験と本試験の契約が別々になるとベッドのキャンセルはなくなる。ただ一部の製薬企業からは、予試験の契約の際に、その後に行われる本試験用のベッドの確保を求められることがある。その場合は以前のように追加試験用のベッドがすべてキャンセルされることはないが、必要な被験者数が予定より少なかった場合に、その分だけをキャンセルされることとなった。
なお新しいガイドラインには、本試験の途中で中間解析を行い、その結果によって追加の例数を柔軟に決めることができるというやり方も記載されている。今のところその実施例はなく、空きベッドが生じるような問題は生じていない。しかししばらくたたないと、今回の変更によりどのような影響があるのかは予見できないように思われる。