【目的】胃癌術後補助化学療法については、長期予後の改善を目的として様々な術後補助療法が検討されている。アジアで行われたCLASSIC試験(NCT00411229)では、Capecitabine+Oxaliplatinによる術後補助化学療法群と手術単独群が比較された。主要評価項目は3年無病生存期間(DFS)、副次評価項目は生存期間(OS)と安全性であり、主要評価項目である無病生存期間(DFS)の術後補助化学療法群のハザード比は0.56であり術後補助化学療法の優位性が示された(p<0.0001)。本研究では、臨床試験に登録された被験者個別情報を用い各因子の治療効果を検討した。
【方法】千葉大学薬学部倫理審査委員会の承認のもと、Clinical Study Data Request.com(CSDR)よりCLASSIC試験の個別被験者データを入手した。入手した詳細患者背景、投与後情報、有害事象発現情報を基に、術後補助化学療法群と手術単独群の単独群におけるDFSおよびOSについて、コックス回帰分析によりSAS 9.4を用いて予後規定因子を探索した。
【結果・考察】補助療法群と手術単独群共通のDFSに関連する予後因子としては胃癌stage、OSに関連する予後因子としては性別、胃癌stage、および食欲不振の発現等が認められた。補助療法群でDFSおよびOSに関連する予後因子としては、癌の深達度、相対投与量あるいは治療サイクル数、好中球数減少の発現等が認められ、手術単独群でDFSおよびOSに関連する予後因子としては、BMIあるいは食欲減退の発現等が認められた。また、全体に性差あるいは性と他因子とのの交互作用が認められた。
【結論】胃癌に対するCapecitabine+Oxaliplatinの術後補助化学療法においては、本研究から予後因子が示されたため、予後を予測しながら個人ごとの治療を最適化できる可能性が高まったと考えられた。