【目的】日本人小児集団における抗てんかん薬の処方パターンと、抗てんかん薬とアレルギー性副作用との関係を調査すること。
【方法】国立成育医療研究センターの外来あるいは入院患者を対象とした後方視的コホート観察研究。2011年1月から2019年6月までに、抗てんかん薬で治療された患者を研究対象とした。診療録などのデータを解析し、抗てんかん薬の処方の推移と、抗てんかん薬に関連するアレルギー性副作用について検討した。
【結果・考察】計14,230人の患者が対象となった。ジアゼパムが最も頻用されていた抗てんかん薬(74.8%)であり、次にフェノバルビタール(14.3%)、バルプロ酸(11.4%)、ホスフェニトイン(10.0%)、カルバマゼピン(7.3%)であった。ほとんどの患者は旧世代の抗てんかん薬で治療されていたが、新世代抗てんかん薬の処方の増加傾向が見られた。32人(0.22%)の患者が抗てんかん薬に関連するアレルギー性副作用を経験し、副作用に最も頻繁に関連する抗てんかん薬は1.4%の割合でカルバマゼピンであった。 3人の患者がスティーヴンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症を発症し、そのうち2人はカルバマゼピンによるものであった。副作用の被疑薬は、芳香族系抗てんかん薬(84.4%)または旧世代の抗てんかん薬(81.3%)が多くを占めていた。
【結論】本研究は、日本の三次病院で抗てんかん薬とアレルギー性副作用の関係を評価した最初の研究である。ほとんどの患者は旧世代の抗てんかん薬を処方され、ほとんどの副作用イベントはこのカテゴリーの抗てんかん薬の投与に関連していた。副作用を発症するリスクの高い患者を特定する(研究の進みつつある旧世代の抗てんかん薬に対する薬理遺伝学的検査を行うなど)ことは、副作用を予防するために重要と考える。