背景: アリピプラゾールは、統合失調症治療の第一選択薬とされている。長期のアリピプラゾール投与は、ドーパミン作動薬としての活性に起因すると思われる低プロラクチン血症を引き起こす可能性がある。しかし、低プロラクチン血症と定常状態のアリピプラゾール濃度の関係性に関する情報はほとんどない。方法: 被験者は、アリピプラゾールで治療した統合失調症と診断された男性患者66人と女性患者177人である。アリピプラゾールおよびデヒドロアリピプラゾールの血漿濃度とプロラクチンの血漿濃度は、それぞれ高速液体クロマトグラフィーと酵素免疫測定法を用いて測定した。そして、5 ng/mL未満のプロラクチン濃度を低プロラクチン血症と定義した。結果: 男性患者66人中52人(79%)、女性患者177人中58人(33%)に低プロラクチン血症がみられた。男性の血漿プロラクチン濃度とアリピプラゾールの濃度 (rs=-0.447、p <0.001) および有効成分 (アリピプラゾールとデヒドロアリピプラゾール)濃度(rs = -0.429、p <0.001) の間に有意な逆相関があった。女性では、血漿プロラクチン濃度と血漿アリピプラゾールの濃度 (rs = -0.273、p <0.01) および血漿中の有効成分濃度 (rs = -0.275、p<0.01) との間にも有意な逆相関が見られた。結論: これらの発見は、低プロラクチン血症はアリピプラゾールで治療された統合失調症患者の血漿薬物濃度の濃さと関係していることを示している。