【目的】我々は反応性アストロサイトに高発現しているモノアミン酸化酵素B(MAO-B)を標的としたPETプローブ[18F]SMBT-1を開発した(Harada R et al., J Nucl Med. 2021)。PETプローブの特性を理解することは臨床応用し、PET画像を解釈していく上で重要である。本研究では[18F]SMBT-1の代謝特性およびアストロサイトのバイオマーカーになりうるかを明らかにすることを目的とした。【方法】 SMBT-1の光学異性体について代謝特性、結合性を評価した。また、ヒト剖検脳を用いて[18F]SMBT-1の結合性を評価し、アストロサイトのマーカーであるGFAPおよびMAO-Bの量との相関解析を実施した。【結果・考察】[18F]SMBT-1の主要代謝物は硫酸抱合体であり、S体の方がその反応性は高かった。硫酸転移酵素SULT1A1の選択的な阻害剤であるメフェナム酸においてマウスあるいはヒト肝cytosolによるSMBT-1の硫酸化は抑制され、組換え体のヒトSULT1A1についても同様にSMBT-1の硫酸化とメフェナム酸による阻害が確認された。SMBT-1の硫酸化はSULT1A1のSNPs(R213H)の影響はなかった。また、[18F]SMBT-1の結合量はMAO-BおよびGFAPの量と高い相関を示した。【結論】S体である[18F]SMBT-1はR体と比較して優れた結合特性、薬物動態特性、代謝特性を有しおり、[18F]SMBT-1はMAO-Bを発現する反応性アストロサイトを反映することが示された。