【目的】新しい治療法を探す患者にとって治験や臨床研究等は、新しい治療へのアクセスとして重要な選択肢の一つとなっている。治験や臨床研究に関する情報が登録・公開されている臨床試験登録レジストリはこれらへの情報アクセスの手段として紹介、広く利用されている。しかしながら国内の臨床試験登録のレジストリについては、登録情報に対する検索性能向上の必要性が指摘されている。本研究では、臨床試験登録レジストリが提供している検索機能について、海外の臨床試験登録レジストリについて内容を整理・検討することを目的とする。
【方法】海外の臨床試験登録レジストリにおける検索に係る項目について比較検討を行った。海外の臨床試験登録レジストリとして、米国のClinicalTrials.gov(CT.gov)と欧州のEU-CTRを、国内の臨床研究検索ポータルサイト(JPRN)と臨床研究データベース(jRCT)を対照として比較した。検討項目は、検索画面の配置、簡易と詳細な検索機能への分割の有無、検索項目、検索マニュアルの有無とした。
【結果】検索画面の配置については、トップ画面に設置しているサイト(CT.govとJPRN)とトップ画面から検索画面への移動が必要なサイト(EU-CTR、jRCT)があった。検索機能の分割には、CT.govとEU-CTR、JPRNの3サイトが設定していた。CT.govとJPRNは、詳細検索の画面を別に設けていただが、EU-CTRは、検索項目が追加で開く仕様になっていた。jRCTは分けていなかった。検索項目については、4つのレジストリに共通して、フリーワードによる検索が可能となっていたが、フリーワードによる検索を主とした仕様としているもの(EU-CTRとJPRN)と、検索項目の一つとして設定しているもの(CT.govとjRCT)があった。試験フェーズなど、全てのレジストリが設定していた検索項目もあるが、レジストリによって異なる項目設定もあった。検索マニュアルは、CT.govとEU-CTR、JPRNの3つのレジストリが提供していたがjRCTは提供していなかった。
【考察・結論】海外・国内のレジストリの比較から、簡易と詳細の2つの検索画面の設定、検索マニュアルの整備等によって利用目的が幅広いユーザーに対して検索の利便性向上が期待できると考えられた。レジストリ内でのバランスを考慮した上で、利用しやすい検索機能への修正・提供が必要と考えられる。