【目的】当院ではCOVID-19感染防止策の一環としてビデオによる同意説明を行っている。昨年の本学術総会で、日本人健康成人対象試験のビデオを用いた説明に対する理解度などを報告した。今回、白人対象試験について調査したので報告する。
【方法】責任医師がパワーポイントでシナリオを作成し、治験協力者である通訳スタッフが音声を吹込み、説明ビデオを作成した。作成にあたっては、説明同意文書に沿った内容となるよう留意し、画面に文書の該当頁を常に表示するようにした。参加予定者のビデオ視聴中は担当医師が立会し、上映後、質問の有無および説明を理解したことを個別に確認した。アンケートでは、Q1. ビデオのわかりやすさ、Q2. 長さ、Q3. 質問の機会、Q4. 質問のしやすさ、Q5. ライブによる説明とどちらがよいか、Q6. その理由、について質問した。
【結果】作成したビデオは約20分だった。アンケートは33名の回答を得た。Q1. 大変わかりやすい:13(名)、わかりやすい:19、普通:1、わかりにくい/大変わかりにくい:0。Q2. 大変長い:1、やや長い:3、適当:29、短い/大変短い:0。Q3. 十分にあった:27、普通:5、十分にはなかった:1。Q4. しやすかった:27、普通:6、しにくかった:0。Q5. ビデオの方がよい:6、どちらでもよい:10、ライブの方がよい:6。
【考察】前回の調査と同様、ビデオを用いた説明の理解度や質問の機会などにつき、良好な結果を得た。一方、日本人対象の調査ではライブが望ましいとする意見は少なかったのに対し、白人ではライブを望む意見も多かった。この点、Q6の、"I just prefer face-to-face interaction."、"Live is always better than a prior recording." の記載から、1)ディスカッションを好む白人の特性、2)コロナ禍のコミュニケーション不足に対する渇望、などが理由として考えられた。これについては、同時期の日本人について再調査・比較検討を予定している。
【結論】文書により適切な説明を行うための手法としてビデオを用いることは、白人被験者においても治験の内容の理解を深める上で有用であった。