2019年6月にがんゲノムプロファイリング検査が保険適用され、全国226の医療機関(2021年8月1日現在)においてがんゲノム医療が実用化された。しかしながら遺伝子異常にマッチした治療が受けられるのは10~15%程度であり、その大半を治験薬に頼っているのが現状である。2019年10月から患者申出療養制度下において「遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療」の臨床試験(jRCTs031190104)、俗称「受け皿試験(BELIEBE trial)」を開始、全国12のがんゲノム医療中核拠点病院で実施中である。内外資製薬企業からの支援により約20の分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤の無償提供をいただき、各施設のエキスパートパネルの結果に基づいて治療適応が判断、治療が行われている。抄録作成時200例を超える症例登録が得られているが、試験を通しての課題にも直面している。本シンポジウムでは受け皿試験の現状と課題について情報共有を行いたい。