令和3年4月、我が国の看護系大学は276校293課程となった。養成可能人数は全学校養成所の約36%を占めている。看護師等の養成には、まず、学校の認可を受け、さらに保健師助産師看護師学校養成所指定規則を満たす教育機関として文部科学大臣より指定を受ける必要がある。指定規則は看護師国家試験受験資格を得るのにミニマムな教育内容が示されたものである。大学は学位を与える教育機関であるので、看護職養成にあたっては、指定規則の内容を上回りつつ、大学の教育目標及び学位授与の方針等に基づき教育課程を編成し、質の高い人材を輩出することが求められている。 令和2年10月30日に保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部が改正され、看護師養成に必要な教育内容が示されている別表3の総単位数が97単位から102単位へ増となった。各大学においては、指定規則を満たす教育課程であることの確認と同時に教育課程を見直す機会となっている。 文部科学省では、大学における看護学教育の質保証のため「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」を度々開催している。検討会において、平成23年には「学士課程教育においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」が策定され、平成29年には学士課程において学ぶべき内容と学修目標を網羅した「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」(以下、看護コアカリ)が策定された。医療の高度化や専門分化、地域包括ケアシステムの構築、医療専門職のタスクシフトなど我が国の保健医療を取り巻く状況は刻々と変化している。新興感染症の対応も重要になっている。大学においては看護コアカリなど外部基準を参照しつつ、将来に必要な基礎的能力が学生に獲得されるよう教育課程を熟慮熟考し編成することが期待される。