医療の高度化や薬物治療の複雑化が進む中、患者がより安全で安心できる医療提供を受けるためには、各職種の専門性の発揮と連携が期待される。現在、多くの医療機関において病棟に薬剤師が配置され薬学的管理を行っている。薬剤師は薬理学、製剤学、薬物動態学など多くの薬学的知識を基に最善の薬物治療の提供や副作用マネジメントへ活かしている。しかしながら、薬剤師は与薬時を含め常時患者の傍にいることが難しい。与薬時は、薬剤の粉砕や簡易懸濁の可否、注射薬の配合変化やルートの選択、投与のタイミングや投与時間、副作用のモニタリングと大変多くの情報の理解と整理、ならびに迅速な対応が必要である。そのため、患者トータルケアの専門職である看護師と与薬前から薬剤や副作用情報について情報共有し、投与後の有害事象を発生させないために連携することが不可欠である。当院では、2017年度より職種間の情報連携の強化を図る目的で、病棟薬剤師が主体となり担当病棟ごとに病棟薬剤勉強会を開催してきた。主に「ハイリスク薬を中心とした薬剤投与後の観察と記録」、「配合変化」、「休薬が必要な医薬品」についてこれまでに取り上げた。これらは臨床現場で起こりやすい医薬品関連のインシデントやアクシデントに関連しており、薬物療法の基礎知識を理解することでより効果的に実践できることとなった。さらに勉強会といった多職種で理解できる時間を共有することで、職種間の信頼関係が構築でき、さらには職種間のコミュニケーションの構築にも貢献できた。これまでに医師と看護師が構築してきた連携に加え、新しく薬剤師が加わることでより充実した医療の実践が期待される。薬剤師がチーム医療における薬物治療の一翼を担い、質の高い薬剤管理を行うためには看護師との協働が極めて重要である。これまでの当院での薬看連携に関する取り組みを紹介し、実践するための工夫、問題点、今後の課題について議論したい。