GCP Renovationは4半世紀ぶりのE8およびE6の大改定である。GCP Renovationの最初のガイドライン・エフォートであるE8(R1)がStep 4に到達した。E8(R1)はハイレベルな指針であり、医薬品のライフサイクルを通して考えておくべき一般的な原則が述べられ、ここに示されたPhilosophyはGCP (E6(R3))のみならず、今後改定されるガイドライン、新規に作成されるガイドラインにも反映されることだろう。GCP RenovationにおけるClinical Studyの実務上もっとも大きな変更点は、Clinical Studyの質の管理技術の転換である。従来、広く用いられていた質の管理技術は、Clinical Studyで起きてしまった問題(エラー、逸脱、不正など)を発見し修正することが中核をなす、言わば「後ろ向きのアプローチ」であった。GCP Renovationが推奨する管理技術は、Clinical Studyにおける業務プロセスに質を事前に作り込むことを前提として、Clinical Studyの目的を達成するために極めて重要な意味を持つプロセスに着目しながら修正を行っていく、言わば「前向きのアプローチ」である。これは工業生産等で発展してきた品質マネジメントのアプローチにClinical Studyが約40年遅れてたどり着くことを意味する。Clinical Studyの計画や準備、実施、終了後のまとめなどは大きく変わっていくことになるだろう。Clinical Studyに関わる全ての人々の考え方の転換が必要である。Clinical Studyにおける業務プロセスに質を事前に作り込むためには、スポンサーやプランナーが机上でプロセスを設計するだけでは全く不十分である。Clinical Studyに参加する医療機関が自分たちの業務プロセスに事前に質を作り込んでいくという準備に年単位の時間を要する努力の積み上げが欠かせない。GCP Renovationが推し進めるQuality by Designは、そのような下地があって初めて健全に機能する。