私は肺がんの患者。ステージは4。2010年、39歳で罹患。当時の私の治療では生存期間中央値が12か月。その状況の中で幾多の治療を選択し、受けてきた。その後2015年に肺がん患者の会ワンステップを設立。活動を続けている。今回は加速しているPPI(患者参画)の流れ。そして、患者提案型医師主導治験KISEKI trialから見えてきた患者参画の良い点と懸念点をお話しする。 それがGCP Renovationに関わる皆さんのお役に立てれば幸いである。<そもそも PPI(患者参画)とは?>男女参画とは臨床研究・治験の推進に関する 今後の方向性について 中間とりまとめ (平成 31 年3月 29 日 厚生科学審議会 臨床研究部会)において、臨床研究・治験の推進に係る基本的考え方として患者参画が記されている。「国民・患者の理解や参画促進 国民・患者の臨床研究・治験への理解や参画が十分でないことも臨床研 究・治験を進める上で課題となっているとの指摘がある。国民・患者の 臨床研究・治験に関する理解や参画を促す取組が必要である。」AMEDにおいても患者参画ガイドブックが発行され、 研究者、患者団体に 研究への参画が周知され、様々な取り組みが始まっている。<患者提案型医師主導治験KISEKI trial>肺がんの EGFR 陽性患者を対象に行われているこの医師主導治験は、患者団体からWJOG(西日本がん研究機構)へ お願いし、製薬会社も協力して2020年から始まった。感謝をどれだけしても足りない。 PMDA の対面助言の費用も寄附で集めた。現在も進行中。日本 においてこのような取り組みは前例がなく患者参画の事例として幾度も紹介された。今回はその経緯を振り返り、 患者参画の良い点と懸念点を記す。良い点としては、患者ファーストを貫くと、ストラテジーにそれた治験も可能になったことだ。現在ゲノム医療の出口戦略が問われている。癌腫横断的で数の少ないタイプは治験が組まれにくい面がある。KISEKI trialはそういったタイプのがんの研究に対し、前例を作ったという見方もできる。懸念点としては、PMDAでの事前面談の場で起こったことをあげる。サイエンスの議論の場に患者が参加したわけだが、そこで、患者の持つ感情を届けることの懸念を強く感じる場面であった。