2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険診療として実施可能となり2年が経過した。保険償還の為にはがん遺伝子パネル検査の結果を多職種で構成されるエキスパートパネルで医学的解釈を行うことが要件となっている。しかしエキスパートパネルの判断基準は施設によりさまざまであり、同じバリアントに対してエキスパートパネル間で異なる治療薬が提案されるということも起こりうる。エキスパートパネルの標準化も試みられているが、治験を含めた関連情報は常にupdateされており、エキスパートパネルを担当する医師にとって、年々増加する最新情報に対して常にキャッチアップしていくことは現実的にハードルが高い。さらに2021年8月からは血液検体を用いたリキッドバイオプシーも保険承認され、今後がん遺伝子パネル検査件数の増加が予想されるが、エキスパートパネルに割くことができる労力と時間は有限であることから、エキスパートパネルの効率化は喫緊の課題である。今回、中核拠点病院におけるエキスパートパネル運営の現状と課題について、当院での経験も踏まえて論じたい。