過活動膀胱の治療薬として、抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬が広く用いられ、近年では、難治性過活動膀胱に対する新規治療法として、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法や仙髄神経電気刺激による神経変調療法などを用いることが可能になった。一方で、治療抵抗性や副作用回避の観点から、既存薬物以外の作用機序を有する創薬探索を目的として、主に動物を用いた基礎研究が盛んに行われている。
標的とする作用部位も、元来では膀胱の異常収縮抑制および膀胱弛緩増強であり、いずれも膀胱排尿筋への直接作用が主体であったが、膀胱を含めた下部尿路組織の慢性虚血や、尿意すなわち膀胱知覚の求心性伝達路、更には中枢作用を有する薬物が新たな治療標的として注目されている。
これまでに、膀胱局所における作用を期待した治療標的として、Rho kinase、Angiotensin受容体、アポトーシス誘導因子、Vitamin D3などが挙げられる。また、膀胱知覚の求心性伝達路を治療標的として、Nerve growth factor (NGF)、P2X3受容体、Potassium (Kv7)チャネル、Navチャネル、Prostaglandin E2 (PGE2)、Transient receptor potential (TRP)チャネル、Cannabinoid受容体などが検討されている。さらには、中枢での治療標的として、Angiotensin II、Bombesin、Serotonin、Adenosine A2A、GABA等の各受容体が注目されている。
このシンポジウムでは、新規治療標的に着目しつつ、上記に挙げたいくつかの基礎的検討について、最新の研究結果も踏まえて発表する予定である。特に、膀胱知覚の求心性伝達路に対する創薬は、過活動膀胱の必須症状である尿意切迫感の根本治療に直結する可能性を秘めており、我々が行なってきた基礎的検討を含め、本シンポジウムで発表したい。