非拠点の大学病院では臨床試験に関わる人材の不足、しばしば属人的になる体制、医師、医療従事者の研究可能な時間の不足、研究費とシーズの不足、大学病院全体の疲弊など多くの問題が存在する。このような状況では決現在の臨床中核病院の要件を目指すよりも数は少なくともそれぞれの強みを生かして、質の高い臨床研究をアウトプットすることと、臨床試験を実施できる人材を養成する必要がある。シーズからの医師主導治験実施は現在の臨床研究中核病院の支援が必要であるが、診療科で重要と考える疾患の臨床試験の疫学的研究基盤としてレジストリの構築やコホート研究はデータベース解析では得られない情報が収集され、将来臨床試験で解決すべきQuestionが明らかになる。試験開始後の症例集積にも有利である。しかし実際これらを解析し、解釈すること、そこから臨床試験を組み立て、実施するには相応のトレーニングが必要であり、人材育成プログラムをOJTまたは大学院で実装する必要がある。またこのような形で行われるのはどちらかといえば開発型の研究よりも特定臨床研究としてのpragmatic trialであり、これの実施に関するノウハウを集積することは非拠点のミッションとも言える。本シンポジウムでは琉球大学病院、大学院医学研究科の取り組みを紹介する。