近年、薬剤開発コストの上昇が大きな問題となっている。規制要件の確立や、それに対応する方法論は、いい加減な対応を許さず必要な経費は増えている。しかし、経費削減を必要としている治験依頼者が、実施側に対し費用軽減や、費用算定の公正性等を厳しく求める方向性が強くなってきている。こうした時代背景の中では、実施側の治験運用の効率化や、実施している仕事のリアルタイムな集計とデータ提供が重要となる。このためには各種手順をデジタル化する(DX)ことが必須である。DXの確立には、確かな技術をもった企業と、本当に必要な課題を提供できる施設の共同作業が重要となる。現在、当院においてBuzzreach社との間で、いままで手作業に依存していた業務を自動化し、効率化する事を目標とした新たなシステム構築を試みており、本講演では、この具体的な内容を紹介する。
本システムでは、医療機関としての課題を抽出し、CRC・被験者・連携する各部門・治験依頼者など、全ての関係者が一つのシステムを通じ、自動的に情報を連携する仕組みの構築を目指しており、治験管理のプラットフォームとして有用となると考えている。
また治験効率化の一つとして被験者確保の手段提供に関して、周辺医療機関と連携し相互に被験者候補を紹介する仕組み(サテライトサイト構想)のシステム化にも取り組んでいる。