Proximity Extension Assay (PEA) 法は、抗体ベースのアフィニティーアッセイとNGSもしくはqPCRによる検出を組み合わせたユニークな高感度マルチプレックス解析技術である。近年、COVID19研究やプロテオゲノミクス研究分野で注目を浴びている技術の1つとなっており、昨年同技術による結果が掲載された論文は600報を超えた。
PEA法は、①イムノアッセイ、②2本鎖DNAの形成、③2本鎖DNAの増幅・検出の3つのステップに大別される。まず、異なるエピトープを認識する2つの抗体で個々のタンパク質を捕捉する。続いて抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドが互いにハイブリダイズ・伸長することで2本鎖DNAを形成する。そして、最終的に各タンパク質に由来する2本鎖DNAを増幅し、NGSにより最大で約3000種のタンパク質を同時に分析・定量する。最適な抗体ペアで形成される2本鎖DNAを指標にリードアウトされるため、従来のサンドイッチELISAやマルチプレックスアッセイにみられる抗体の交差性の問題を排除することができ、高い特異性が担保される。
本技術の特徴として以下の3つが挙げられる。
 1. 超微量サンプル:
本アッセイはタンパク質自体を直接分析せず、形成される2本鎖DNAを増幅し分析するため、必要とされるサンプル量は、~4マイクロリットルと極微量で良い。
 2. FDA推奨事項に沿ったバリデーション:
アッセイ開発時に5項目のバリデーション(感度・特異性・ダイナミックレンジ・スケーラビリティ・再現性)を行っており、これらのデータは全てウェブ上で公開されている。
 3. 厳密なクオリティーコントロール:
アッセイの質をモニタリングするための内部標準、及びアッセイ毎の精度や検出限界を算出するための外部標準も同一アッセイ内に含めることで、厳しいクオリティーコントロール下でアッセイが実行される。
PEA法は感度、特異性、サンプルスループットに優れた手法であり、大規模なバイオマーカー探索からターゲットを厳選した高コストパフォーマンスな中規模のマルチプレックス解析まで、血漿プロテオーム研究の幅広い場面で活用可能である。