【目的】主治医の診療科が内科か整形外科かによって、関節リウマチ(RA)の薬物治療の内容に違いがあるのかを比較する。【方法】全国規模の関節リウマチデータベース:NinJa (National Database of Rheumatic Diseases in Japan)の2019年度のデータを用いて解析を行った。対象は、総登録患者16,086例中、データを登録した医師の診療科が判明していた15,392例。内科(A群)が11,187例(72.7%)、整形外科(B群)が3,840例(24.9%)、両者(C群)が365例(2.4%)(C群は今回の解析から除外)。【結果】平均年齢(A群66.6歳、B群67.7歳)、平均罹患年数(12.9年、17.5年)、男女比(女性比率78.3%、81.9%)はともに群間で有意差を認めた。疾患活動性をCDAI(中央値[95%CI]で比較すると、A群(3.9[1.4, 8])はB群(4.6[1.8, 9])に比べ有意に低かったが、MTX使用率(59.7%、60.6%)に群間差は認めず、MTX平均使用量(8.2mg/w、7.6mg/w)、副腎皮質ステロイド使用率(32.8%、24.8%)はいずれもA群で有意に高かった。生物学的製剤使用率(30.1%、34.5%)はA群が有意に低く、JAK阻害薬使用率(4.8%、2.9%)はA群で有意に高かった。両群ともにMTX非使用者の腎機能はMTX使用者に比べて有意に低かった。MTX使用下で生物学的製剤もしくはJAK阻害薬を併用する際の比率を比較すると、A群(17.3%)ではB群(10.3%)に比べ、JAK阻害薬の使用率が有意に高かった。【考察】内科医と整形外科医とではRA治療に用いる薬剤の使用内容に差を認めた。A群はB群に比べて疾患活動性は低かったが、副腎皮質ステロイド使用率も多く、抗リウマチ薬の違いによる影響かの判断は困難だった。今回の解析では、整形外科医はMTXや生物学的製製剤/JAK阻害薬などの強力なRA治療を内科医以上に実施していることが明らかとなったが、リウマチ専門施設のデータでもあり解釈には注意を要する。解析に用いた両群の患者背景に差を認めたことから、診療科によるRA治療の比較には患者背景を揃えた集団での詳細な解析が必要である。【結論】主治医の診療科の違いにより、RAの薬物治療内容に違いがある可能性が考えられた。