【目的】今まで一般的な冬の感染症といえばインフルエンザが主であったが、新型コロナ(SARS-Cov-2)の発生により、感染症対策が大きく変化した。治療薬やワクチンがあるインフルエンザ治療とは異なり、自己免疫による対策も再注目された今般、免疫系に関与すると考えられる活性型ビタミンD3製剤(以下AVD3)服用群と非服用群を比較し、感冒症状の予防にどの程度寄与するかを調査する。【方法】2021年1月から3月の三ヶ月間で来局した65歳以上100歳以下の女性患者のうち、AVD3服用群と非服用群を抽出し、感冒症状で治療薬が処方されたケースを薬歴から後方的に比較検討した。【結果】AVD3非服用群88名のうち、感冒症状があったのは11名(12.5%)。AVD3服用群37名のうち、感冒症状があったのは1名(2.7%)。リスク比は4.6であり、AVD3非服用群が感冒症状を発症するリスクはAVD3服用群に比べ4.6倍高いことがわかった。統計ではOR5.14:95%CI、0.63-41.37となり、有意差は認められなかった。【考察】今回の研究では、AVD3服用群と非服用群間の感冒症状の程度に有意差は認められなかったが、リスク比が優位に高かったため関連性がないとも断定できなかった。今後、さらに症例を集積し、地域における感染対策の一助としたい。