【目的】カンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品は、大麻取締法等の規制対象であり、現行法では、輸入も使用もできない。諸外国では、指定難病であるレノックス・ガストー症候群やドラベ症候群に対する治療薬として使用され、日本国内においてもその期待が高い。しかしながら、本邦において規制の存在する薬物を扱うことは、現行、容易ではない。すなわち、病院内薬剤管理体制・薬剤供給体制などはこれまでの治験にない独自の管理が必要である。そこで本研究では、治験実施における大麻由来製剤の取扱い等に関する課題に対して、治験実施施設としてどのように考え、どのような対応が可能かを明らかにすることを目的として調査した。【方法】てんかん診療全国拠点機関および21道府県のてんかん診療拠点機関の全22施設を対象に、大麻由来製剤に関して想定される課題に関するアンケートを実施した。【結果・考察】アンケートへの回答は22施設中15施設から得られ、回収率は68.2%であった。大麻由来製剤の管理等(保管方法、帳簿、廃棄等)については、麻薬と同等で良いとする回答が多く得られた。その服薬において、厳格な管理を必要と考えている施設はなく、日誌などによる管理の提案などが多かった。大麻由来製剤を取扱うことに対する抵抗感、不安感等については、半数以上で抵抗感・不安感は「ない」と回答する一方、法規制、調剤の難しさ、金庫の設置等から「ある」と回答する施設もあった。しかしながら、患者さんへの服薬指導に関して抵抗感・不安感はあるかの質問に対して、「ある」と回答した施設はなかった。今回のアンケートから、適正に情報を提供することで基本的には治験の実施は可能である事が確認出来たと考える。【結論】現行の規制法においても治験の実施には前向きな回答が寄せられ、またその理解水準は妥当なものと思われる結果が得られた。特に治験としてカンナビノイドを使用する場合、多くの追加的配慮を必要とせずに実施可能であると考えられた。