【目的】東京大学医学部附属病院(以下、当院)では、臨床研究法(以下、法)の特定臨床研究の適正な実施体制を確保するため、管理者許可の前に、臨床研究推進センターが当院規程に照らし、当該研究を当院で実施することが可能か否かの観点から研究計画書や説明文書の内容を確認している。また、その過程で、法及び臨床研究法施行規則(以下、規則)に規定された事項の記載の有無を独自に作成したチェックリストを使用して確認してきた。今回、その状況をまとめ、法及び規則を遵守した研究計画書及び説明文書となっていることを確認するためのチェックリスト活用の有用性について報告する。【方法】他機関の認定臨床研究審査委員会で承認され、研究代表医師から提供された特定臨床研究の研究計画書と説明文書を、規則第14条並びに法第9条及び規則第46条を反映したチェックリストを使用して、必要な記載の有無を確認した。なお、施行通知では、規則第14条について「臨床研究の内容に応じて記載することとして差し支えない。」とされているが、今回はその点は考慮していない。また、同一研究グループが作成した研究計画書と説明文書については、そのうちの最新の研究のみを採用することとし、計9件の特定臨床研究について確認した。【結果】法及び規則に規定された事項の記載状況は、平均で研究計画書が約7割、説明文書が約8割であった。しかしながら、研究計画書では、「症例報告書に直接記入され、かつ原資料と解すべき内容」、「医薬品等製造販売業者と利益相反関係の有無とその内容」等、説明文書では、「医薬品の概要」、「研究計画書その他の特定臨床研究の実施に関する資料の入手又は閲覧の方法」等の規定された事項の記載が十分とは言えない研究もあり、当院の研究者にその旨伝えた。【結論】今回チェックリストを活用した結果、記載漏れとなりやすい事項を抽出できた。研究計画書等の作成者は、当該事項を念頭にいれて作成することにより、さらに法や規則に則った研究計画書や説明文書になると考えられる。また、チェックリストを研究者自身が使用することで自己点検も可能であり、さらに点検済のチェックリストを研究計画書等に添付することにより、認定臨床研究審査委員会や共同研究機関の管理者許可時の書類確認においても有用と考えられる。今後はさまざまな用途についても有効に活用されることが期待される。