臨床研究において、その業務の効率化やデータ収集のスピード・信頼性担保を目的としてIT技術の活用が期待されている。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により、対面でのモニタリングや監査の実施が困難になったり、対面時間や人数の制限が必要になったことにより、ITソリューションの活用は業種を問わず急務となっている。医療法人社団慶幸会ピーワンクリニック(以下、当クリニック)は、治験専門のクリニックであり、いち早くIT技術を取り入れるため、課題解決に向けて検討を重ねてきた。その一つとして、eSourceの活用を推進しており、2019年より臨床試験、治験専用の電子カルテの導入準備を開始し、本学会でも有効性や問題点について発表してきた。そして、2021年は2種類のDDC(Direct Data Capture)システムを使用する機会があり、その経験からDDC導入について今後の課題が明確になった。今回使用したDDCはbeagle OneとMedrioであり、この2種類のDDCを使用した場合と、紙媒体を原資料とする従来のやり方を比較検討すると、大きく2つのことが明らかになった。1点目は、業務効率の変化である。特にPhase-1試験において、タイムリーなデータ入力は非常に重要であり、入力後の確認もスピーディに対応する必要がある。DDCへデータを直接取り込むことにより、入力と確認作業における省略と正確性の向上が今後期待できる。2点目は、原資料へのアクセス性の向上である。依頼者が遠隔地からデータをリアルタイムに閲覧できることになり、モニタリングがリモートで実施できることにあると考える。本セッションでは、試行錯誤の最中ではあるが、2つのDDCを使用した経験を交えて、現在検討し工夫している当クリニックの活動について報告したい。