従来、アジア地域は医薬品市場として世界から大きな注目を集めていたが、近年は「規制調和」など規制環境や治験環境の整備などにより、医薬品開発の場としても関心を集めている。本セッションでは、アジア地域の主要国及び国際組織による規制調和や協力活動を今後の展開も含めて紹介する。
日本は、ICH創設国でもあり、かねてよりアジア地域では最も薬事規制制度が整備された国の一つである。近年においては、薬機法改正による新たな迅速審査制度の創設など自国の制度改正をすすめている。また、様々な国際会議で積極的なリーダーシップを発揮し革新的なagilityにつながるよう貢献している。PMDAではアジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザインに基づき、アジア域内の規制調和等を推進していくこととしており、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターやアジアネットワーク会合などアジア地域における「規制調和」を推進している。
PMDAでは上記プラットフォームの構築による情報共有や情報提供にとどまらず、ASEAN各国への専任担当者配置による体制強化を行っており、専任制をもちいることでより相手国の実情に合わせた対応が可能となった。この体制強化はアジアにおける規制調和の重要性への理解や、日本の規制に対する信頼醸成に資することを目的とされており、将来的には日本の承認結果や査察結果への理解を得ることにつながることが期待される。また、垣根のない医薬品・医療機器マーケットを整備しアジアの高齢化・健康長寿への貢献に資するため、日本のアカデミアが推進するアジア協同治験の推進にも協力をしており、日本における産官学連携による活動の促進を図っている。