NCGMはグローバルヘルス分野を担当するナショナルセンターとして30年以上にわたる国際医療協力を展開してきた。2016年からはAROの国際部門が設置され、国際医療協力の一環としての臨床研究の推進に向けて活動している。海外諸国との協力では各国間、各国内の国際共同臨床試験への対応力の格差があるため、適切な医療機関の選択やキャパビルでの協力も行っている。COVID-19パンデミック下では、世界中でこれまで見られない速さと規模の臨床試験が行われているが、その信頼性や品質は様々であり、改めて臨床試験のデザインや品質管理、リソース確保、国際的な協力体制の整備の重要性が認識された。現在我々は個々のプロジェクトや人材育成プログラムでの協力を通じてASEAN諸国を中心にアジアでのAROアライアンスを構築している。E17や緊急時の規制の調整などへ対応するため国際協力スキームの設置、SOP、EDC、eSource、eConsentなどの共有や共同人材育成プログラムを進めている。実際の国際プロジェクトの実務では契約、調達、会計なども重要であり、これら周辺業務も強化を図っている。恒常的な情報共有と国際的な業務プロセスを有するAROプラットフォームとして、研究者や企業のアジアでのR&D、EBM、国際医療展開などを支援する体制を展開している。現在本邦の研究者や企業が主導して海外で臨床試験を行う際の支援が主であるが、国際的に共通の医療保健上の課題に対し、参加各国から国際的なInvestigator-initiated trialの企画実施が進むことを期待している。国際的に共通の課題は必ずしもアジアで区切られるものではないため、このアライアンスは参加各国間での活動に留まらず、他の国際的な機関ともグローバルに協力を行うようにしている。OneAsiaの言葉そのままにAsiaが一つになることは簡単ではないが、課題とすべきことの認識を共有し、適切なRole & Responsibilityの下でクリアすべき課題に向かって一致団結して取り組むことは可能と考えている。本発表では、アジアのAROアライアンスを通じた国際臨床試験の基盤整備や個々のプロジェクト、グローバルヘルス分野での関連する諸活動について概括すると共に、課題や今後に向けた展望について報告する。