(目的)神経変性疾患では神経の脱落の他にアミロイド(Aβ)、タウ、α-Synuclein、TDP-43といったタンパク質が蓄積する。蓄積するタンパク質やその分布によって発症する疾患は異なる。脳内に蓄積したタンパク質は陽電子断層撮影法(PET)を用いることで画像化出来るようになってきている。
レビー小体型認知症(DLB)に蓄積するクロスβ構造を持つα-Synucleinは、アルツハイマー型認知症(AD)患者のAβの1/10かそれ以下である。また、DLBではAβの沈着とタウの病理を認めることから高い結合選択性が求められる。
本研究ではMAO-B PETトレーサー[18F]SMBT-1を用いて結合性の評価を行い、α-Synuclein PETトレーサーの代替バイオマーカーへの有用性を明らかにすることを目的とした。
(方法)Lewy小体のみが蓄積しているDLBの凍結脳を使用し、MAO-B PETトレーサーの[18F]-SMBT-1を用いてバインディングアッセイを行った。
(結果)[18F]SMBT-1とのバインディングアッセイにおいてコントロールの脳とDLBの患者の脳ホモジネートではMAO-Bへの結合性に有意差が認められた。
(結論)[18F] SMBT-1はα-Synucleinの代替PETトレーサーとして有用である可能性が示唆された。今後、オートラジオグラフィーや生化学的な解析を調べることでα-Synucleinの分布と類似性や、ミクログリアなどのグリア細胞増加との関連などを検証する必要があると考えられる。