【背景】桑白皮はマグワMorus alba L (Moraceae) の根皮を用いる生薬で,漢方では消炎・利尿・鎮咳薬として用いられる.桑白皮は降圧作用や脂質代謝の亢進,血糖降下や抗酸化作用が知られているが,鎮咳作用に関連する報告は少ない.そこで今回我々は,桑白皮の気管拡張作用について検討した. 【方法】桑白皮の熱水抽出エキスおよび関連主成分を試料とし,ラット摘出気管を用いマグヌス法にて評価した. 【結果と考察】桑白皮の熱水抽出エキスは,アセチルコリン(ACh)誘起の収縮気管に対して穏やかな弛緩作用を示したが,単離した主成分のmurberroside Aからは作用が得られなかった.一般に配糖体は腸内で加水分解を受け,そのアグリコンが体内に吸収されることから,murberroside Aのアグリコンであるoxyresveratrolを用いて検討を行った.OxyresveratrolはAChおよび高濃度カリウム(K +,64 mM)誘起の気管収縮に対し,用量依存的に弛緩作用を示した.したがって桑白皮の気管拡張作用は,主成分のmurberroside A が代謝を受け,生成したアグリコンのoxyresveratrolが作用すると考えられた.