Author:〇玉置 勝司、島田 淳、仲井 太心、藤原 基、片岡 加奈子、渡辺 秀司、和気 裕之
Affiliation:補綴医学
Abstract:[目的]歯科領域において心身症的な症状を訴え、対応に苦慮する患者をしばしば経験する.神奈川歯科大学附属病院では2001年以降,心療歯科医師、精神科医師との連携を行い,精神疾患に該当する患者の対応について報告してきた.しかしながら、患者の中には歯科処置を契機に心身症の症状を発症する場合もある.そのような患者の治療体験から口腔領域の心身症について再考する.
[方法]55歳女性.他歯科医院で臼歯部に行ったクラウンの咬合違和感を主訴に来院した.咬合紙やバイト材などによる咬合検査で異常はなく,当該歯のエックス線写真に異常所見はない.医療面接の現病歴の問診で,臼歯部クラウン装着後の違和感から,担当医に何度も調整を求めたが応じてくれず、術者に対する不信感のため信頼関係の喪失を感じた.患者の咬合の違和感が日常生活に支障をきたし,その不安状態から身体症症状が疑われた.
[結果および考察]まず現在の咬合状態に関する患者の理解が得られるように丁寧に説明した.その後,患者が訴える咬合違和感に対して傾聴,受容,共感し,再度咬合接触専用のシリコーン検査を行った上で,患者の同意も得てクラウンの再製作を試みた.クラウンの装着時の患者の反応は非常に良好で,患者の感謝も得られ,定期検診も十分行い,一旦歯科診療を終了した.このような経験から,歯科治療開始前の十分なインフォームドコンセントによる患者-術者間の信頼関係の重要性を再認識し,『歯科治療による心身症』の発症に大きく関わる可能性を再確認した.
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