Author:〇本間 優太1、井上 允1、長島 信太朗1、大野 晃教1、眞鍋 雄太2、森田 望之3、近藤 永4、木本 克彦1
Affiliation:1補綴、2認知症・高齢者総合内科、3神奈川県開業、4山梨県開業
Abstract:[目的]日本では,近年人口に対する高齢者の割合が増加し,認知症患者が増加している.本学附属病院では,日本認知症学会専門医による認知症の治療を行う"認知症・高齢者総合内科"を新設し,認知症患者に対してMRIによる脳の形態と脳血流シンチグラフィを用いて脳血流の状態を観察している.認知症発生リスク要因として様々なものがあるが,口腔機能との関連性を報告しているものは少ない.そこで,本研究では"認知症・高齢者総合内科"を受診した患者に対し,口腔機能検査を実施することで,口腔機能と脳の機能・形態との関連を分析し,口腔環境による認知症予防の可能性を模索する事を目的とする.
[方法]本研究の対象者は,2018年8月~2019年7月に神奈川歯科大学附属病院"認知症・高齢者総合内科"に受診した患者のうち,認知機能検査(MoCA-J:JapaneseversionofMontrealCognitiveAssessment)にて25点以下であった12名(男3名,女9名,平均年齢78.7歳±8.08)を対象とした.対象者に対しては,歯科検査として,歯周組織検査,口腔機能検査(口腔機能低下症検査7項目)を行い,認知症・高齢者総合内科の通常診療で行われている認知症診断検査として,認知機能検査,身体機能検査,脳形態評価検査(MRI),脳血流代謝検査(SPECT)の数値を用いて,歯科検査と認知症診断検査との相関関係をSpearman順位相関係数を用いて検定した.統計学的有意水準は5%とした.なお,本研究は神奈川歯科大学研究倫理審査委員会承認のもと行われた。(承認番号第535号)
[結果および考察]相関分析の結果,前方帯状回の脳血流代謝機能低下と腓腹筋部周囲長(p=0.00040,r=-0.876),舌圧(p=0.036,r=-0.635),舌口唇運動機能(p=0.032,r=-0.619)との間に負の相関が,嚥下機能(p=0.026,r=0.663)との間に正の相関を認めた.前方帯状回は行動の開始や,やる気などを司る領域であり,機能低下するとアパシー(無為),食欲低下,興味の喪失などが出現し,その結果サルコペニアを発症する確率が高くなるといわれている.今回の統計解析で相関性が見られた筋機能として腓腹筋部周囲長が該当し,舌圧,舌口唇運動機能,嚥下機能も同様に筋機能と考えると,今回の結果と合致する.今後は,さらに被験者数を増やし,認知症診断結果や全身的既往歴も加えて検討していく予定である.
[P-33] 認知機能低下患者における口腔機能と脳血流・脳形態との関連性
臨床研究 ②2+
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