第57回神奈川歯科大学学会総会

開催のご挨拶


神奈川歯科大学学会 会長 槻木 恵一
(神奈川歯科大学大学院研究科長)

日頃より神奈川歯科大学学会の活動についてはご支援ご協力を頂き感謝申し上げます。今期会長に就任したことから、理事会で内容を精査していただきました所信を神奈川歯科大学学会の学会総会に当たり述べさせて頂きます。
2022年8月10日に東京医科歯科大学と東京工業大学の合併の協議が始まるという記事がマスコミで報道されました。この2つの大学の合併の意図は、国の巨大な研究費の獲得にあります。ワクチンの開発についても数十億円の巨額な研究費が投入されました。この様に国の研究予算の方針は、重点化にあります。研究予算重点化政策に歯学研究が参入できる大学は国立系大学のうち数校しかないかでしょう。一方、私立歯科大学は、少子化の影響を大きく受け学生確保に重点を置いています。さらに、本来の姿を変え競争的試験となった歯科医師国家試験への対策だけでなく、登院前後の共用試験の本格導入、分野別認証評価の実施などへの対応に追われています。すなわち大学の使命である研究の遂行という重要な役割を果たすのが困難になっているのが現状です。10年後の神奈川歯科大学の研究の状況が危惧されます。特に国の研究重点化施策からは神奈川歯科大学は外れるので、それとは別の神奈川歯科大学独自の研究ワールドを作り、プライオリティを主張するしかないでしょう。
その様な現状において神奈川歯科大学学会のあるべき姿をもう一度再考しなければならないと考えています。漫然と同じ事業計画の継続では先が見えているのです。神奈川歯科大学学会の根本的な役割は、
1:神奈川歯科大学学会員への学術的な知見の研鑽の場である。
2:母体である神奈川歯科大学の研究力の維持向上への支援
の2点に絞られます。改革の視点は、この2点を基本原理として、将来を見据えた事業計画を立案し学会員への還元を図ることにあると考えています。
現在神奈川歯科大学学会の会員数は6933名を数えます(2022年6月9日現在) 。しかし、その多くの会員に十分な研鑽の場が提供できていないのが大きな問題です。その問題を解決するには、6000名超の会員に対する還元の方策を立て、情報提供することにあります。
しかし、これまで学外の多くの学会員への還元が検討されたことが無く、学外の学会員と学会の関係性は極めて薄くなっています。そのため、まず初めに学外の学会員と学会の関係を密にするための基盤を作りながら、「神奈川歯科大学学会員への学術的な知見の研鑽の場」を強化していきたいと思います。これには神奈川歯科大学同窓会との連携は欠かせません。例えば、同窓会支部の代表者に評議員をお引受け頂く、さらに会員と学会の交流を図るために、電子媒体によるメールマガジン、会報の配布なども考えられます。
同時に、神奈川歯科大学学会は、10年後の神奈川歯科大学の研究を基盤から支えるために神奈川歯科大学大学院との連携を深め、賞での支援強化やWEBセミナーの開催などにより神奈川歯科大学のブランド研究の推進の支援を行うことが必要です。さらに現在の神奈川歯学とは別に英文学会誌のオープンジャーナル化により、学位論文のクオリティを上げることに側面協力し、研究力が失速しないようにサポートすることで「学会の母体である神奈川歯科大学の研究力の維持向上」を支援したいと思います。
以上の新たな施策の展開は、これまで神奈川歯科大学学会では行ったことが無く、学会としての組織体制などの強化が行われないと実施できないことは明白であり、今年度中に理事会機能の強化、評議員会のチェック機構の強化、事務局体制の強化を早急に行い、学会員の皆様とともに将来を見据えた事業計画の立案に向けた体制作りを行いたいと思います。
10年後の神奈川歯科大学のさらなる発展を願い、神奈川歯科大学学会活動を強化するための改革を学会員の皆様と一緒に行います。今後とも学会員の皆様には、ご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。


神奈川歯科大学学長 櫻井 孝

神奈川歯科大学学会会員の皆様におかれましては、平素より学会の活動に対し、多大なる御理解と御協力を賜り誠にありがとうございます。本学会の会員数が間もなく7000名に達する見込みである事をお聞きしております。これまで順調に会が大きく成長し続けておりますことは、ひとえに会員の皆様の御協力と、代々の執行部役員の皆様の御尽力の賜物であり、重ねて感謝申し上げます。
さて、この度は第57回神奈川歯科大学学会総会を無事開催していただける運びとなりありがとうございます。コロナ禍に陥って以来、三度目の総会を開催していただくこととなりますが、今回もICTを御活用いただきながら、現地開催とオンライン開催を上手く活用したハイブリッド型の学会として開催していただく運びとお聞きしております。運営に携わられる皆様におかれましては、通常の学会を開催される以上に、御苦労と御手数をお掛けしていることと存じますが、何卒宜しく御願い申し上げます。本来であれば、皆様に直接御挨拶申し上げなければならない所でございますが、やむを得ない状況下にあるとはいえ、文書での御挨拶となり誠に申し訳ございません。第57回神奈川歯科大学学会総会が、盛会裏に実り多き大会となりますことを心より祈願いたしております。
過日、神奈川歯科大学学会における今後の課題として、学外の会員の先生方にもより有用性が高く、利用していただき易い学会を目指して、運営上の工夫を御検討いただきたい旨、槻木会長に御願い申し上げました。現在、今後の発展の方向性などについて、様々な視点から御検討をいただいている御様子であり、槻木会長をはじめ役員の皆様に厚く御礼申し上げます。コロナ禍の影響を受け、この三年の間に国内のICT環境が飛躍的に向上しました。コロナ禍発生前には予想もしていなかったことですが、現在では学会もオンラインで開催することが当たり前の世界へと変化しております。したがって、この機会を上手に活用すれば、多少興味があってもわざわざ大学まではお越し頂けなかった遠方の会員の先生方にも、学会に直接参加していただけるような機会を増やすことができるかも知れません。また、オンライン会議に御参加いただく形であれば、評議員等としても御活躍いただき易くなったといえるのかも知れません。人と人との接触が制限されるような状況ではありますが、社会や環境の変化を上手に活用することにより、新たな発展が生まれることを期待いたしております。
末筆となりましたが、神奈川歯科大学学会の益々の御発展と、会員の皆様の御健勝を御祈念申し上げます。