Author: 〇杉田 誠
Affiliation: 広大 院医 口腔生理
Abstract: 顎下腺腺房細胞では副交感神経作動薬のcarbachol刺激により,細胞内Ca2+濃度が上昇し,基底側方膜のNa+-K+-2Cl–共輸送体(NKCC)を介して細胞内に輸送されたCl–がCa2+依存性Cl–チャネル(TMEM16A)を介して腺腔側へ分泌され,水分泌を駆動する。これまでの研究で,細胞外グルコース濃度を減少させた際,およびphlorizin投与によりNa+-グルコース共輸送体SGLT1を介するグルコース取り込みを阻害した際に,顎下腺からの水分泌は抑制されることが明らかとなったが,その分子・細胞レベルでの機構は不明である。本研究では分離腺房細胞でのグラミシジン穿孔パッチクランプ解析とホールセルパッチクランプ解析の比較,および顎下腺灌流標本での唾液分泌速度測定を用い,SGLT1活性がcarbachol刺激により誘発されるCl–分泌・水分泌の維持にいかに関与するかを探究した。ホールセルパッチクランプで記録されるCl–電流はTMEM16Aの活性化状態を表出するのに比較し,グラミシジン穿孔パッチクランプで記録されるCl–電流はNKCCを介して細胞内に輸送されたCl–がTMEM16Aを介し分泌される量を表出する。分離腺房細胞でのグラミシジン穿孔パッチクランプとホールセルパッチクランプの双方の記録において,carbachol刺激は振動性Cl–電流を誘発した。Carbacholにより誘発される振動性Cl–電流に対するphlorizin投与の効果のグラミシジン穿孔パッチクランプとホールセルパッチクランプでの比較により,SGLT1阻害はTMEM16A 活性を部分的に抑制することに加え,NKCCを介するCl–流入に依存したCl–輸送に影響を与え,振動性Cl–分泌を抑制することが示唆された。SGLT1活性は振動性Cl–分泌と水分泌を維持するためにリアルタイムで必要とされる。共同研究者:竹安美彩(広大・院医・口腔生理)
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[3-P1-P88] グラミシジン穿孔パッチクランプ解析により表出される顎下腺腺房細胞Cl–分泌の維持に関与するSGLT1活性
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