[3-P1-P89] 老化促進マウスの耳下腺における脂肪酸輸送体CD36発現変化と唾液分泌への影響

Author: 〇佐藤 慶太郎1、大野 雄太2、長瀬 春奈2、柏俣 正典2、安達 一典1
Affiliation: 1明海大 歯 薬理、2朝日大 歯 薬理
Abstract: 【目的】漿液性唾液は主に耳下腺から、粘液性唾液は他の唾液腺から分泌される。相対的に漿液性唾液の分泌量が減少するとドライマウスになる。ドライマウスに悩む患者には中高齢者が多く、加齢現象は漿液性唾液の分泌量減少を引き起こす要因の一つと考えられる。しかし、耳下腺の加齢変化がどう影響するか明らかではない。一方、ヒトやラットを用いた唾液成分解析において、総脂肪酸量は耳下腺由来の唾液が顎下腺および舌下腺由来の唾液よりも多い報告がある。耳下腺に取り込まれた脂肪酸は、エネルギー代謝などを介して唾液分泌に影響すると考えられる。そこで我々は、脂肪酸輸送体の発現量は耳下腺が顎下腺や舌下腺に比べて多く、加齢による発現量の変化が唾液分泌に関与すると考え検討を行った。【方法】8週齢の雄性BALB/cマウスの耳下腺、顎下腺および舌下腺を用いて、脂肪酸輸送体CD36のmRNA量をreal-time RT-PCRにより検討した。48週齢の雄性老化促進マウス(SAMP1マウス)とその対照マウス(SAMR1マウス)を用いて、三種混合麻酔下におけるムスカリン受容体作動薬ピロカルピンの腹腔内投与(0.5 mg/kg体重)による唾液分泌量を測定した。SAMP1およびSAMR1マウスの耳下腺におけるCD36タンパク質量をウェスタンブロッティングにより検討した。【結果と考察】BALB/cマウスにおいて、CD36のmRNA量は耳下腺が最も多かった。ピロカルピン投与後20分間の唾液分泌量はSAMP1マウスがSAMR1マウスに比べて有意に低かった。耳下腺におけるCD36タンパク質量もSAMP1マウスがSAMR1マウスに比べて有意に低かった。よって、耳下腺は他の唾液腺に比べてCD36による脂肪酸の取り込み量が多く、48週齢のSAMP1マウス耳下腺では、CD36の発現量が変化することにより、唾液分泌に関わる可能性が考えられた。

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